6人以下の室内楽曲

«Ghin-no-oto»
(2021) for Shakuhachi and Shamisen

Akihito Obama Commission
World premiere: December 22, 2021
"Akihito Obama The 4th Shakuhachi Recital" at Musicasa, Tokyo
Shakuhachi: Akihito Obama
Shamisen: Hidejiro Honjoh
Duration: 10 minutes

ぎんの音  Ghin-no-oto

伝統を現代や未来にいかに活かしうるか。

リサイタルやCDシリーズから垣間見える小濵明人さんのアプローチに倣い、私も邦楽器の歴史的、思想的背景を踏まえて作曲しようと考えました。

邦楽器には、西洋とは異なる独特の思想が、発音の仕組みを通してよく表れています。一音の中に含まれるたくさんの聞こえない倍音のうち、選ばれたひとつだけを際立たせるのでなく、さまざまな媒介(バチ、サワリ、息…)によって、一音から派生し共鳴する、ノイズを含めたすべての音を聞かせる。あるいは、同じミの音にも、手や首の動きによって微妙に翳ったり上ずるミがある…。 一音のなかに多種多様の世界を聴き、悟りを得る「一音成仏」という表現は、尺八の究極の響きを表現したものだそうです。一方、そうした多様なニュアンスをもつ音のなかで、とりわけよく響く「ぎんの音」(吟ずる音)という表現が三味線にあることは、本條秀慈郎さんに教えていただきました。

そうした「究極」をめざしつつ、シタール、琵琶といった三味線の「祖先」や、尺八、三味線と同時代の荘重な西洋舞曲サラバンドなど、四方八方への落ち着かない目配せもまた、ある意味で非常に「日本的」かもしれません。