6人以下の室内楽曲

«インテルメッツィ II»
(2002) for Koto

委嘱:クランクシュプーレン音楽祭
初演:2002年9月8日、聖マーティン教会、シュヴァーツ(チロル)、クランクシュプーレン音楽祭
後藤真起子(箏)
演奏時間:8分
出版:ブライトコップフ&ヘルテル社

《インテルメッツィ》(間奏曲集)という私の作品シリーズは、フランスの思想家であり、文芸批評家でもあったロラン・バルト(Roland Barthes 1915-1980)の、断章形式についての考察から発想を得ています。一見無関係にみえる数々のテーマを断章形式で書き連ねることで、あいだに隠されたつながりが次第に浮き彫りにされると彼は述べ、その理想型として、短いフォームに凝縮された俳句の修辞法を挙げています。

《インテルメッツィII》は、チロル地方の音楽祭”クランクシュプーレン”の、「箏で俳句を作曲せよ」との委嘱により書かれたものです。「断章の理想は、高度の音楽的濃縮性や、各断章の『音色』によって支配される強いレトリック性である」とするバルトのアイディアに触発され、聴き手の想像力を最大限にふくらませうる、音色のレトリックによる「俳句」、あるいは6つの俳句(間奏曲)から成る「連句」を目指して作曲しました。

望月 京