6人以下の室内楽曲

«ネクスト・ステップ»
(2003)

Fl, Guit, Vn

委嘱 : Music from Japan, New York
初演 : 2003年2月9日 ニューヨーク、マーキンホール
Fl. ヘレン・タラ・オコナー、Vn. 佐藤えり子、Guit. ビル・アンダーソン
演奏時間 : 13分
出版 : Breitkopf & Härtel

数年来、私は音楽の根源的な力は、古来より音楽のそもそもの役割や場所であった、祈りと舞踊 —「祭り」「ハレの日」といった要素— にあるのではないかと考えています。今日のシリアスな音楽においては、舞曲、宗教曲は以前に比べてすっかり書かれなくなってしまいましたが、私はこのような考えから、そうした形態の音楽を、私なりのもう少し暗喩的な方法で書くことに興味を持つようになりました。
2000年に書かれた、ファゴットとアコーデオンのための《pas à pas》(パ・ザ・パ)は、そうした「暗喩的舞踊組曲」の最初の試みで、ふたつの楽器が2拍子系、3拍子系のさまざまな「舞曲」を連続的に、時には同時に重奏します。
《 Le pas d'après(ネクスト・ステップ)》では、私にとって初めての楽器であるギターのさまざまな技法を用いた「練習曲」の側面に、フルートとヴァイオリンの音色が寄り添うかたちで、いくつかの短い「舞曲」が連ねられてゆきます。
アメリカの作家Paul Austerの「一歩ずつ (pas à pas) 進むごとに、体のみならず思考も前進する」という言葉をこの「舞踊組曲シリーズ」の理想精神とし、タイトルに「pas (歩)」の一語を借用しています。

望月 京