経歴

望月 京
1969年東京生まれ。東京藝術大学音楽学部附属音楽高校、同大学を経て1993年同大学院作曲
専攻修了。1995年パリ国立高等音楽院作曲科、1998年同科第3課程、2000年同楽曲分析科修了。
1996〜97年IRCAM(フランス国立音響/音楽の探究と調整研究所)研究員。北村昭、尾高惇
忠、間宮芳生、ポール・メファノ、エマニュエル・ヌネス、トリスタン・ミュライユの各氏に
師事。

さまざまな領域への関心からもたらされる着想や、繊細さとダイナミズム、多彩な音色と
バランス感覚に優れたユニークな作風が各地で注目を集め、ザルツブルク音楽祭、ウィーン・
モデルン、ドナウエシンゲン現代音楽祭、ヴェネツィア・ビエンナーレ、リンカーンセンタ
ー・フェスティバル、サイトウ・キネン・フェスティバル(松本)など、数多くの主要音楽
祭等で作品が初演/再演される。各国のラジオ・テレビによる放送も多い。

2007年ルーヴル美術館の委嘱で作曲された無声映画『瀧の白糸』(1933、監督:溝口健二)
のための音楽は、同年のルーヴルでの初演以来、毎年再演を重ね、これまでブザンソン、スト
ラスブール、東京、スイス、イタリア、オランダ、ルクセンブルクなどで演奏、2019年はチュ
ニジアでの再演が予定されている。また、パリの秋芸術祭、アルス・ムジカ音楽祭(ブリュッ
セル)、アムステルダム・ムジークヘボウ、サントリーホール、ニューヨーク・ミラーシアタ
ー「作曲家の個展シリーズ」などでは、オーケストラやアンサンブル作品による個展が開催さ
れ好評を博す。
その他、代表作として、オペラ《パン屋大襲撃》(ルツェルン劇場、ロンドン・ロイヤル・オペ
ラハウス他共同委嘱)、管弦楽曲《むすびII》(ブザンソン国際指揮者コンクール課題曲)、
《むすび》(東京フィルハーモニー交響楽団創立100年記念委嘱)、《ニライ》(バイエルン放
送響委嘱)、《ニグレド- R.シューマン讃-》(新日本フィルハーモニー委嘱)、《インスラ
オヤ》(サントリー音楽財団委嘱)、《クラウドナイン》(NHK交響楽団委嘱)、《メテオリ
ット》(読売日本交響楽団委嘱)、《ホメオボックス》(ベルリン・ムジークビエンナーレ委
嘱)、《カメラ・ルシダ》(SWR南西ドイツ放送局委嘱)、弦楽四重奏曲《Brains》(ラジオ
フランス委嘱)、《Boids》(クロノスカルテット委嘱)、《赤い大地》(フランス文化省委
嘱)、アンサンブル作品《キメーラ》《ワイズ・ウォーター》(ともにWDR西ドイツ放送局委
嘱)、《4D》(フランス文化省委嘱)など。
最近作に、共通善経済をテーマにした《パントポス》(ヴィデオとアンサンブル)、アイデン
ティティの問題をとりあげた《Têtes》[顔/頭](歌手とアンサンブル)がある。

1995年第64回日本音楽コンクール作曲部門第1位及び安田賞、1998年ダルムシュタット・
シュティペンディエン賞、1999年ユネスコ国際作曲家会議推薦曲(パリ)、2000年芥川作曲
賞、2002年アルスムジカ音楽祭聴衆賞(ブリュッセル)、2003年芸術選奨文部科学大臣新人
賞、出光音楽賞、 2005年尾高賞、2008年ユネスコ国際作曲家会議グランプリ(ダブリン)、
2010年ハイデルベルク女性芸術家賞を受賞。作品はBreitkopf&Härtel社より出版、CD作品集
がKairos(2002年)、Neos(2014年)の各レーベルよりリリースされている。

講演や作曲の講師として招聘されることも多く、社会や芸術に関する幅広い興味や知識に裏付
けられた講義、また2008年より8 年間読売新聞に連載した「音楽季評」や、2018年1月〜6月
 の日本経済新聞連載「プロムナード」をはじめとする執筆活動も高く評価されている。
2019年、日本経済新聞連載コラムを中心とするエッセイ集『作曲家が語る音楽と日常-パリと
日本を行き来して-』(海竜社)を上梓。
これまでに、ダルムシュタット国際夏期講習会(ドイツ)、ロワイヨモン国際作曲セミナー、
コレージュ・ド・フランス、ニューヨーク・コロンビア大学、アムステルダム音楽院、
カタロニア高等音楽院(ESMUC)、Mixtur フェスティバル(バルセロナ)、
ニース・CIRM(国際音楽研究センター)、パリ・エコール・ノルマル音楽院、
ウィーン芸術写真学校、ア・テンポ音楽祭(ベネズエラ)、武生国際音楽祭等で講師を務める。
2011~2013年にはブザンソン国際音楽祭コンポーザー・イン・レジデンスとして指揮者コン
クール課題曲作曲および審査のほか、地域の大学、音楽院、美術学校などでの講演やワーク
ショップ、演奏会を数多く行った。
現在、明治学院大学文学部芸術学科教授、東京藝術大学音楽学部作曲科客員教授。
 

経歴