アンサンブル曲

«ワイズ・ウォーター»
(2002) for 9 players

Fl (& A-fl), B-cl (& cl), Trb, 2 Perc, Pf, Va, Vc, Db (いくつかの楽器に増幅あり)

委嘱:ケルン放送局(WDR)
初演:2003年1月19日 「望月京 個展」 WDR ビスマルク・ザール、ケルン
ジョルジュ・エリー・オクトルス指揮/イクトゥスアンサンブル
演奏時間:16分
出版:Breitkopf & Härtel

 《エテリック・ブループリント3部作》の2曲目として演奏される《ワイズ・ウォーター(賢い水)》は、江本勝氏の著書「水は答えを知っている」に触発され て作曲したものです。氏は、水の結晶には、水が受け取ったエネルギー(波動)が目に見えるかたちで映し出されると考え、各地の水を凍らせて写真に撮り、結晶として現れる図形の精度から、その波動を読み取るという試みを続けておられます。
空から降ったばかりの雨水(Juvenile water 若い水)が、土に浸透し、地中を流れていくうちに、ミネラルや、その地を覆う意識や感情といった、あらゆる情報を吸収して「賢い水」となる。 水はそれらの情報を記憶し、地球を循環しながら伝達すると同時に、生命力の源として万物を生成・浄化する。 そうした働きをもつ水の結晶を拡大写真に映し出すことで、水が含有する情報を解読できるのではないか、というのが江本氏の主張で、 受けた波動によって異なる結晶の数々(暴力的なエネルギーを受け取った水は結晶をつくることができない、祈りやお祓いを受けた水は精緻でバランスのとれた美しい結晶を作るなど)を写真集にまとめて発表されています。
こうした主張の正否を見極めるすべは私にはありませんが、「さまざまな情報に出会い、それをとりこみ、伝達しながら変化発展していく水」というイメージを美しいと感じ、しずく、泡、波、氷、蒸気、と姿を変える水を想起させる音響を楽器 で作り出しながら、同時に、音色、音型、リズムなど、あらゆる音楽情報を楽器間で伝達していくプロセスを曲にしてみようと試みました。

望月 京


ワイズ・ウォーター